異界の夜へ、ようこそ。
私はファーブラ、導く者。
今から始まるのは、長い長いお話の一端。
一匹の黒い小鳥の話。
その子は生まれてから忌み嫌われ、たったひとりで世界を旅してきました。
その世界は「異界」。
小鳥は初めて、大切なものができるでしょう。


『出会い〜くろきとりとおとめ〜』


一匹の黒いチョコボが、森の中を歩いていた。
黒チョコボの名前はクイ。
名前は自分でつけた。
自分の鳴声でつけた。
名前など付けてもらえなかったから。
だから、自分で名前をつけた。

まだ小さい子供だけど、頑張ってこの「異界」に生きている。
餌を探してキョロキョロとあたりを見回す。
ひんやりと森の香りが漂って、気持ちの良い空が木々の枝の隙間から見える。
そんな時、クイは何かを見つけた。
「クィ?」
集団で動く人間たちを見つけたのだ。
クイはその集団を見て「関わらない方が良いかも」と感じたが・・・。
何かの良い匂いでつられ、異界に秩序を作る「コモディーン」の前に出て行ってし まった。


「ん?なんだ?」
「あ、可愛いv」
コモディーンのリーダー、ナーヴと仲間のミィレスだ。
「クィイ?」
実は今は、コモディーンは食事の時間だった。
そこに、おなかのすいているクイが出てくるなと行ったら無理である。
  クゥウウ・・・

おなかの音まで聞こえてきた。
物欲しそうな眼で、ナーヴたちを見るクイに、目を合わせる二人。
その顔は唖然としていた。

「どうだい、おいしいだろう?」
「クィイイv」
くいは満足そうな声を出して、シドに返事をする。
満足そうな顔付きで、シドはクイを見ている。
「この子、いったい何処の異界から来たんだろうね?」
「クィ?」
クイは地下鉄でここにきた。
クイは昔から、とても珍しい漆黒の羽を持っていたので、
母親や、中間達からのけものにされて、群れから逃げだすしかなかった。
だから、クイはひとりだ。
独りで生きてきた。
そのなか、コモディーンは出発する用意ができた。
「君はどうするんだい?良かったら僕たちと・・・」
クイはシドの言葉を最後まで聞かず、森の方へ行ってしまった。

前からひとりでいたクイは、あまり集団として行動するのが苦手になっていた。
だから、クイはシドの最後の言葉を聞かずに森へ戻っていった。



「クェ?」
森に戻ったクイは、また何かを見つけた。
そこには、ひとりの女性が倒れていた。
仲居黒髪に、体全体をベルトで幾重にも覆っている。
その中でも一番長い腰に巻きついている鞭。
クイは、慎重に、慎重にその女性に近づいていった。
静かな寝息。
どうやら眠っているようだ。
「クィ」
顔を見つめる。とても綺麗な顔だ。
クイはくちばしで顔を揺すってみた。
その中、女性が目を開けた。
蒼い瞳がクイを見つめる。
ゆっくりとクイに顔を近づけ、撫でる。
「クゥ・・・?」
なぜか、クイは彼女を知っているような気がした。
何処かで、遠い何処かで彼女と会った。

彼女が森の出口に差し掛かるとき、彼女は自分に振り向いた。
クイは黙って彼女に続いていた。
「私と・・・来るのか?」
クイは首をかしげて、大きな目をパチパチさせた。
「私は、暗闇の満月。過去を探している。・・・お前は私と来るのか?」
彼女の言っている言葉は分かる。でも、その意味が分からない。
だけど、ついて行きたかった。
「クィィイイ!」


ほんの少し間だけど、彼女と黒い小鳥は旅を続けるのです。

予言します。
彼女は「暗闇」
全ての過去を知るもの。
「神鞭」が一度震えるとき。
異界に波紋が起こるでしょう。
次回 神鞭〜やみにうかぶつき〜
次回もアンリミテッドな導きを・・・。





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