黒き鳥、それは不幸を招く鳥・・・。
悲しき鳥は乙女と出会う。
彼女は求める者。
彼女は捜し続けるのです。
失ってしまったものを取り戻す為に・・・・

異界の夜に・・・、ようこそ。
私はファーブラ、『導く者』。
災いを招くと人々に追いやられた幼き鳥。
その鳥が出会った者たち。
秩序を目指す者たち。

そして、森に出会いし乙女。
彼女の『力』、それは・・・


『神鞭〜やみにうかぶつき〜』


濁った空の下、歩く二つの影。
一つは黒き鳥、一つは黒き乙女。
鳥は、クイはただ彼女について行くだけ。
彼女は何も言わず歩くだけ。
何処に行くのだろう。何処から来たのだろう。
クイは考える。
そのとき、彼女が足を止める。
クイも続けて足を止める。
彼女は無言でクイに寄る。
彼女の手には『首輪』が有った。
無言でクイに『首輪』をつける。
その『首輪』は茶色の皮ベルトに銀色の時計が付いていた。
「これは『イザナギ』。異界の時を告げる時計。『無くすな』。」
森から出て、初めて声をかけられた。
言葉の意味はよく分からなかったが、
彼女は自分がついて来て良いと言ったのだ。
それだけが分かった。それだけでも充分だ。
付いて行けたら何でも良かったから。
「クエ!!」
一声鳴いて彼女に続く。
初めて自分を「必要」とした者に会えたから。


その光景を見渡す、二つの影。
ひとりは、ガウディウム四凱将のひとりオスカー。
そして、もう一つは膝丈ほどの人形。
蝶のように背中に付いている羽は透明な緑。
ヘルメットのようなものを頭にかぶり、胸に青い宝石が付いている。
「くっくくるぅー」
彼女独特の言葉をオスカーに向ける。
彼女の言葉は思念によって相手に伝わる。
その意味は彼女の主人の命令を伝えている。
「行け」
歌うように、オスカーは彼女を指差す。
「くっくくるぅ」
一言呟いて、彼女はそこから飛び立った。
「さてさて、何故「あれ」の監視を、私に寄越したのか?」
オスカーは人形のクルルを飛び立たせた後。
また人形を出す。
今度のは、『化け物』。
無機質な『化け物』だった。
「ドール」
人形の名を呼び、人形の目は不気味な光を放った。


「クイ?」
空から何かが降りてきた。
人?
クイはそう考えた。
人としては小さかった。
小人。
小人に羽が生えたような感じだった。
「クルル・・・」
銀色の目は何も感じないような瞳を持っていた。
クイは何かこの「小人」が嫌だった。
だから「彼女」の後ろに隠れる。
「クッルル・・・」
彼女に何かを話し掛ける。
そして彼女は。
「分かった。」
それだけで会話は終った。
小人はその言葉を聞き、空の彼方に飛んでいった。
そして、次の瞬間。

ドゴン!!

巨大な牛の化け物が降りてきた。
正確に言うと「牛の化け物の形」をした「人形」だった。
「クイ!!?」
クイは慌てた。
いきなり襲い掛かる化け物に。
「クイ・・・、離れろ」
彼女の言葉で反射的に離れた。
すぐさま岩陰に隠れる。
化け物はクイに目を向けず彼女を攻撃する。
彼女はそれを蝶の舞うようにかわす。
攻撃をかわしながら、彼女は腹部を被っている黒のベルトの一本を引き抜く。
彼女は大きく跳び、崖の上に降り立つ。
そして。
彼女は鞭を振るう。
右手に持った黒のベルトはいつのまにか鞭として姿を変えていた。
一瞬にして化け物の両手が消えた。
いや、落ちた。
しかし人形は何も感じなかったように彼女に突進する。
そして、クイの見た次の瞬間。
化け物は『串刺し』になって『塵』になった。

何時の間にか終っていた戦いを、クルルは見ていた。
「蝶の様に舞い、蜂の様に刺し、何も残さなかった」戦いを。
「クルルル・・・」

クイは、彼女を尊敬した。
あの巨大な化け物を一瞬で倒した彼女を。
その時クイは彼女に一生ついて行く事を決めた・・・。


予言します。
彼女は目覚めた破壊者を見定める。
外から来た迷い人たちと共に。
若き迷い人たち。
彼らのであった者は・・・。
次回「魔銃〜くろきかぜのおとこ〜」
次回もアンリミテッドな導きを・・・。





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