黒き乙女、彼女は『過去』。
遥か彼方の『過去』から、つい先程までの『過去』を見る。

「異界の夜へ・・・、ようこそ。
 私はファーブラ、導く者。
 乙女は黒き鳥と旅をする。
 黒き鳥は時告げる者とし、彼女の傍に。
 彼女は出会う。
 目覚めし破壊者に・・・。
 それは・・・。」


『魔銃〜くろきかぜのおとこ〜』


時計が鳴る、突然に。
「クェェ!?」
「鳴った・・・。」
時計のふたが開き、異界特有の文字が配置されている。
暗闇はすぐさま近寄り時計を見る。
「時間が無いな・・・。」
暗闇が少しだけ目を細め、そしてクイを見る。
「クイ、来い。」
暗闇は走り出す。
荒野を。
森を目指し。
そしてクイも続く。
その後を。

森を進み、地下鉄の入り口を通り抜ける。
クイもここを通って、ここに来た。
また通るとは思っていなかった。
だって、とても怖いから。
落ちてしまいそうになるから。

カーン・・・・。
 カーン・・・・。
鐘が鳴った。
もうすぐ発車してしまう。
暗闇とクイは『地下鉄』に乗り込み。
その直後に後ろのドアが閉まった。
そして、発車する。
暗闇は差ほど変わらない顔つきでがらんと空いている席の一つに座る。
クイは暗闇の足元に座る。
それだけだった。
それでも一緒にいられる事は良かった。
始めて地下鉄に乗ったとき、一人だけで。
とても怖かった・・・。
一緒にいられるだけで良かった。
それだけで・・・。


地下鉄がある駅で止まった。
そこで、誰かが乗ってきた。
前方の車両の方だ。
声がする。
女の子と男の子の声。
まだ幼い声がする。
クイは暗闇を見る。
暗闇はただ目を閉じて眠っている。
息の音が全然聞こえてなかったので気づかなかった。
そこに誰かが入ってきた。
声の主たちとは違い、少し大人の女性。
すぐさま柱の物陰に隠れて、何かの機械を取り出す。
こっちの気配に気づいてない。
一つ後ろの車両にいるのだが、
どうやら彼女は自分たちに気づいていないようだ・・・。
クイはただじっと固まっていた。
もし、気づかれたら暗闇に迷惑をかけるかもしれないから・・・。
だからじっと固まっていた。
彼女は自分たちに気づかず、もう一つ前の車両に向かう。
クイは、その時大きな声が聞こえたが。
やはりこれも黙り固まった。


列車が止まった。
前の車両の人物たちはすでに外に出た。
暗闇が起きてクイはどうするかと首を傾けた。
「出る。」
「クイ!」

ここの異界は虫と植物で成り立っていた。
小さな造形物は小さな虫たちが集まった物。
巨大な建築物は全て草木と苔。
「クィィィ〜・・・」
見た事の無い物ばかりで気味が悪くなる。
クイがあたりを見回していると、空から何か来る事がわかった。
きのこ?
形からして、きのこの「笠」の部分のようだ。
どうやらクイ達より前の方に何か用があるらしい。
「行くぞ、クイ。」
暗闇が飛行しているキノコのような物体に歩き出す。
「ク、クイ〜」
クイもその後を追う。


キノコの化け物。
飛行している物から何かが落とされ、それが現れた。
自分たちは攻撃はしていない。
そのキノコの相手が現れたから。
崖の上に立っている男。
キノコの化け物の前に立ちふさがる男。
黒い男。
暗闇と同じ黒い服装で、右手に何かを持っている。
「助けて―!!!」
少年の声が聞こえた。
それに反応するかの様に、男の声が聞こえた。
暗闇の方を見てみると、ただ見つめていた。
男の姿を・・・。
そして男が動いた。
言葉と、「黒き風」と共に。
「ソイル、我が力!」
その言葉と共に、右手の物体が形を変える。
ジグソーパズル・・・?
一瞬分解したかのように見えれば、また形を作り、
始めと変わった形を作り上げた。

「魔銃・・・、解凍。」

魔銃。
金色の銃となったものを掲げ、男は口ずさむ。
「お前のソイルは決まった!」
ソイル。
腰にあるベルトから銃の弾丸を取り出す。
「全てを生み出す、マザーブラック」
黒の弾丸は魔銃の三つのうちの穴にはめ込む。
「全てを焼き尽くす、ファイアレッド」
次に取り出したのは赤の弾丸。
「そして、全てなる臨界点、バーニングゴールド」
そして最後にはめられたのは金色の弾丸。
「燃えよ!召喚獣、フェニックス!」
男の言葉が終るとき、魔銃から三つの光の弾が撃ちだされる。
それは混ざり合うかのごとく敵に向かった。
敵はそれを受け止めようと、手で防御する。
受け止めた後。
敵は何も無いかのごとくしていたが、すぐに変化が起こった。
体が膨らんだ。
内側から何かが現れようとしている。
時がたつうちに敵は膨らみ、そして。

紅い爆炎が舞った。

赤い炎の中から何かが現れた。
炎の鳥。
 クオォォォォーン!!
取りは上空を目指し飛び、次元の壁を打ち砕いてどこかに消えた。

暗闇はそれを黙って見ていた。
そして、言い放つ。
「目覚めた・・・。」
まるで、黒き風の男を知っているかのように・・・。




ファイナル・ファンタジー アンリミテッド
 予言します。
 彼は破壊者。
 そして、彼女は追い求めし者。
 魔銃と神鞭は共に揺れる。
 それはこの異界に巨大な力を生み出す。
 次回、目覚め〜しずかなるまくあけ〜
 次回もアンリミテッドな導きを・・・





[PR]動画