異界の夜へようこそ・・・
私はファーブラ、導く者。
近づいてくる・・・それは、霧と共に・・・!!

『雲組乱入〜アンリミテッドかげきだん〜』



「おじさん・・・・・・・」
アイ達の心配をよそに風とその他の役者はシンデレラの劇に励んでいた。

「私もお城で踊りたい・・・」
つーか風、声小っちぇえ。
「なんだい?全然聞こえないじゃないか・・・」
風の演技に不満を抱くユリウス。
「おい、もうちょっと聞こえるように・・・」
1人の観客が文句を言おうとしたその時、舞台から雲のような霧がたちこめる。
「し、シンデレラにこんな場面あったかしら・・・?」
リサがそう言った瞬間!!

ドゴオオオオオオオオオォォォォ!!!!

舞台の天井が急に爆発した。
「う、うわああああああああ!!!?」
驚いた役者達は衣装を着たまま外へと逃げる。
しかし風はその場に仁王立ちで、壊れた天井を見上げたままだ。
女装をしているのであまりシリアスではない。

「フハハハハ!!」

霧の向こうから何者かの笑い声が聞こえる。
「白い・・・・・雲。」
風はその者の名を呼ぶ。
「そうだよ黒き風、この舞台は君には相応しくない。」
霧の中から魔剣士、白い雲が姿を現す。
しかも、桃太郎の格好で。
「この舞台は僕ら雲組が演じる、『桃太郎』の舞台さっ!!」
雲の後ろには犬や猿やきじなどの格好をした雲の手下(いるのか?)がいた。

「・・・・すごい、こんな激しい劇初めてだよ!!」
「違うと思う・・・・」
勘違いをしているユリウスと、それにツッコむユウ。
「俺もこんなモノ、好きでやっている訳ではない・・・・
 金が必要だからここで働いているだけだ・・・・」
それならもっとちゃんとやれよ、お前。
「フフ・・・奇遇だね、僕も金が欲しいから働かしてもらったんだよ・・・・」
「(じゃあステージを壊すなよ・・・)」
アイは心の中で呟いた。

「伯爵はケチだから、メシ代も満足に出してくれない・・・
 おかげでどうだ、僕はこんなに痩せてしまったんだ・・・!!」
本当の理由は好き嫌いが多すぎるからであった。(特に肉)
雲は好きなものだけ食べたいので、
お金を稼いでご飯を買うという手段に出たのである。
「君は何故、金を欲しがるんだい・・・・?」
雲はシンデレラの服装をしたままの風に問う。
すると、風の口から信じられない言葉が出た。

「ニューヨークのテロ事件の被害にあった人々に、寄付する。」

「おじさん・・・・!!!」
「風・・・本当は優しかったんだね・・・!!」
その言葉を聞き双子の兄弟は、目から大粒の涙を流す。
「あの人もやっぱり人間だったのね・・・・」
でもそれならもっと他の仕事の方が良くないか?
「なんていい劇だ・・・・!!」
ユリウスはまだ勘違いをしていた。

「く、しかし・・・僕のご飯のほうが大事だ!!」
世界の人々の反感を買いそうな言葉を吐き、雲は魔剣を持ち風に突っ込んで行く。
それと同時に魔銃の宝玉が光る。
「動いた。ソイル、我が力!!!」
風が右手を前に出すと金属の塊でしかなかった魔銃が真の姿へと変わっていく。
「魔銃・・・・解凍。」
「行けー!!おじさん!!」
アイが声を上げる。

この劇のオーナーは可哀想だ。
同情して雇ってやった奴が、舞台を壊し、しかも弁償せずに逃げていくのだ。

「お前に相応しいソイルは決まった!!」
風は自分のベルトから、輝く黄金のソイルを取り出す。
「全てなる臨界点、バーニングゴールド。」
次は闇を照らし出すほど鮮やかな黄色のソイルを取り出す。
「闇を貫く閃光、ライトニングイエロー。」
最後にはいつまでも目に焼き付きそうなほど真っ赤なソイルを取り出した。
「そして、自分の影さえ置いて行く速度、マッハレッド!!」
それらのソイルを魔銃に詰め込み、風は向かってくる雲に銃口を向けた。

「駆け抜けろ!召喚獣・・・・・ジョー!!」

「な、何だと!!!?石ノ森先生に怒られるぞ!!?」
時既に遅し。魔銃はあの有名なサイボーグを召喚してしまった。
他にもドラ●もんやらFEのマルスやら
FFTのラムザやらが召喚できるのは誰も知らない。

「ど、何処だ・・・・・・」
雲は辺りを見まわし風の放った召喚獣(?)を探す。
するといきなり頭に激痛が走り、雲は意識を失ってしまった・・・
意識を失った雲の後ろにはあの有名なサイボーグ、
島村ジョーが立っていた。(うわぁ
加速装置で近寄り、後ろからぶん殴ったのだ。
そしてジョーは居るべき世界に帰って行った・・・(何!?
そしていつの間にか風はいない。

「(・・・・いいのかな?こんなネタで?)」
アイはこの小説を書いた張本人、そう私seedに心で話し掛けた。
良くないに決まってるじゃんかv(殴
「オーナーが来る前に、逃げちゃいましょ。」
リサの言葉に賛同しアイ達はさっさと逃げてしまった。




「ふう、楽しかったvあんな劇初めて見たよ!!
 俺、頑張ってあの人ぐらいの役者になってみせる!!」
最後まで勘違いをしていたユリウスに、
アイ達は「あれ、劇じゃないよ」と言うことが出来なかった。
「う、うん・・・・」

「ク、クェクェクェクェクェ〜!!」
眠っていたチョビが急に目を覚ます。
「列車が発車するって!!」
「ほんとに!!?じゃあ、ユリウス、さよならだね・・・」
「ああ、お父さんとお母さん、見つかるといいな!!」
「うん!!ばいばい〜!!」
アイ達はユリウスに別れを告げ、駅へと向かっていった・・・

そのユリウスがものまね士ゴゴとして活躍するのは
まだ先の話である。




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