異界の夜へようこそ・・

私はファーブラ『導く者』

王国の復興、異界を手に入れる為の強大な力

でもそれは夢、彼の夢は爆炎に散る

それでも散らぬその命、目的を無くした彼は乗る・・・


『魔列車〜そのやしんすてるとき〜』


「某は・・・・生きているのか・・・」

此処はフングスの世界だった場所

彼はこの世界では何者よりも強く、『死』も存在しなかった、しかし

黒き風との戦闘で『召喚獣メテオマスター』の力により周りのキノコ、

不滅とまで言われたこの世界は彼の野望と共に燃え尽き

そんな彼もメテオの炎に貫かれ絶命したはずだった・・



何も無い焼け野原に立ち尽くすフングス

「何故、こんな事になってしまったのか・・」

銜えているパイプからはピ〜っと元気なく煙がでる

「オメガも見つけられず、黒き風も倒せず、我が世界は2度も滅び・・・・
 それでも某はまだ生きている・・・・・・・しかし」

何で生きているのだろう?

体も世界もカビに蝕まれ復活する事はできなくなっていたはずなのに・・

ふと足元を見てみる、そこには一本のキノコ

カビには犯されていないが胞子が出尽くしたようですでに枯れかけている

「そうだったのか、お前が某を復活させたのか」

フングスがキノコに触れようとする。が、

キノコは脆く、崩れ去ってしまった

それを見たフングスは眼(?)に涙を浮かべ

「・・・何故、死なせてくれなかった・・・・
 これ以上生き長らえ一体某は何をすればいいのだ!!」

大地に拳を叩きつけ

あてようの無い怒りと悲しみにフングスは苦しむ

カーンカーンと鐘が鳴る、地下鉄の鐘だ

遠くの方で子供の声が聞こえる。いつも風にくっついているあの3人だ

「お姉ちゃん早く、地下鉄が発車しちゃうよぉ!」

「もお〜、あんな大きいのに襲われた後なんだから、

少しぐらい待っててくれてもいいのにぃ〜」

「ほらアイ、早くしないと置いて行かれちゃうわよ」

「クエェー」

そう言ってユウ達は地下鉄に乗り込んでいく

その後を、

何かに誘われるようにフングスも付いて行った





地下鉄は走る、次は何処に停まるのだろう

「風、また居なくなっちゃったね」

常に戦場にしか現れず

戦いが終わるとすぐに消える

彼は今、何処でどうしているのか

「大丈夫よ。きっとまたすぐに会えるわ」

そうは言ったものの本当にまた会えるかどうかは誰にもわからない

「もう、ユウったらおじさんの事ばかり心配して、
 お父さんとお母さんはまだ見つかってないのに!」

プゥーッと アイがふくれる

「あれ、チョビは?」

さっきまで此処の床で寝ていたチョビが居ない

「何処に行っちゃったのかしら?」

リサ達は自分達が居る車両を隈無く探してみる

だが、チョビは見つからない

すると、

「クゥェェエエエエーーー!!!」

後ろの車両からチョビの鳴き声が聞こえた

「チョビッ!!?」

叫びともとれる尋常ではない鳴き声

不安を見せるユウ達は急いで後ろの車両に向かう



後ろの車両でユウ達が見たもの、それは

驚きのあまり腰が抜けているチョビ

そして・・・

自分達を、風を襲ったガウディウム四凱将の一人フングスの姿であった

「伯爵の手下・・・・・・!!?」

リサはユウ達二人を自分の後ろに隠す

「なんであんたがここにいるのよぉ!!」

「風に倒されたはずじゃ・・・・」

ケンカ腰のアイと怯えるユウ

氣現術の構えをとるリサ

しかし、フングスは何もしてきそうに無い

「好きにするがいい、どうせ貴様等には某を倒せん」

パイプからは煙が少し噴き出る

元気が無い、それどころか生きている気力さえも感じられない

そんなフングスを見てリサは構えを解く

そしてチョビを連れて元居た車両に戻ろうとするリサにアイが

「ねぇリサ、あいつやっつけないの?」

「うん、確かに私じゃ勝てないだろうし

 それに、いくら伯爵の手下でも無抵抗の相手に攻撃は出来ないわ」

リサはアイ達にそう言って車両を出て行く

一人残るフングス

「(何故某はこの地下鉄に乗ったのだろうか?
 このような失態を見せては伯爵閣下に会わせる顔も無い、
 もう・・ガウディウムには戻れぬだろうな・・・・)」

悩めば悩むほど深みに落ちていくフングス

「某に・・・死などあるのだろうか・・・・
 生きることに・・意味などあるのだろうか・・・・」



「ずいぶん悩んでいるでござるな」



フングスは驚く、後方に誰かいる。双子や女は前の車両にいるはずだ

「っ!?何者だ!!」

「まあ、落ち着くでござる。そんなに興奮しなくてもいいでござろう」

そう言って暗闇から現れたのは一人の男だった

黒い髪を後頭部辺りでまとめ、首には深緑のマフラー、

灰色の道衣に身を包み、腰には刀を携えていた

「なに、通りすがりの侍でござる
 よかったら拙者が相談に乗るでござるが・・・・・・」

男はそう言いながらフングスの隣の席に腰掛ける

「(誰でもいい、とにかくこの苦しみを打ち明けたい)」

そう考えたフングスはその男に自身の悩みを話した



フングスの話を聞いた男はしばらく黙っていたが、

数分後、ゆっくりと口を開いた

「・・・・動物、植物に始まって生きているもの全てはいずれ死が訪れる
 拙者の世界では死んだ者はその後、転生というものがあるでござる。しかし、
 御主の様に死なない者と言うのは、生きてること全てが地獄と言われているでござ る」

「『地獄』!?」

理解できていないフングス、

「よく考えてみるでござる。
 どんな苦しみも、痛みも、終わりがあるからこそ耐えられるでござろう?」

男は更に話を続けた

「・・・まぁしかし、だからと言って不死身が悪い事とは限らないでござる。
 全てのものは何か役割が有るからこそ生きている、という話もあるでござる。
 そう考えると、御主が死ねぬと言うのも
 何か御主にしかできない事がまだこの世に有るからでござろう。
 役に立たぬ命など無いのでござるよ。」

その言葉を聞き、フングスの眼には光が戻ってきた



「某にしかできない事・・・・・・・・か、そんなものが有るのだろうか」

「今までに自分が信じてきたもの、その中に有るのではないかな?」

「『信じてきたもの』・・・・伯爵閣下!!」

ガバッと席を立ち上がるフングス

「そうであった、某が伯爵閣下に使えてきたのは全て閣下の為!
 自分の故郷が見つかり力に溺れてしまったがために
 過去の野心などを思い出してしまったのだ!
 このフングスにはやはり・・・・・・やはり伯爵閣下しか居らん!!
 この命続く限り、閣下に尽くすのが某だけの、某しかできない役目なのだ!!!」





カーンカーン・・・地下鉄の鐘が鳴る。次の世界に着いたようだ

列車のドアが開くとすぐにフングスは外に飛び出した

「世話になった。某はガウディウム四凱将の一人フングス!
 本当なら御主の様な外界人は伯爵閣下の前で始末せねばならんのだ。が、
 御主には某の役割を思い出させてくれた恩が有るのでな、この場は見逃しておいてや ろう」

そう言うとフングスは階段を駆け上り行ってしまった

「フングス殿・・・・今度会う時はお互いに敵同士でござるな・・・・・・
 さて、それでは拙者も行くとするか・・。」



男はそう呟きユウ達の後について行った・・・・・・・









ファイナルファンタジーアンリミテッド



予言します・・・

けわしい岩山で出会った謎の男

またもや現れる四凱将

風の魔銃が発動する時

彼の刀は妖しく輝く

『妖刀〜あくまのかがやき〜』

次回もアンミリテッドの導きを・・・・




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