此所は、ある民達の村。人であり、人ではない者達の村。 ここはその1つ、『竜族』の村・・・・・・・・・ プロローグT―――― 竜族の村・・・自らの肉体を竜に変化させることができる、 紫系の瞳が特徴の民族が住む村だ。 その道を、一人の子供が歩いていた。 6、7歳ぐらいの男子だ。 紺色の髪が風になびく。 まだ幼いのに長(おさ)が着る衣を着ている所からして、長の子供だろう。 彼は、この村が自分の両親が治めているにも関わらず、『キライ』だった。 一族の掟には、【竜の血を汚す者は死】と言うものがある。 つまり、竜族ではない者と付き合えば 『死』が待っていると言う物だ。 今日も、その掟をやぶってしまった者達の処刑がある。 彼はその度に、こっそり抜け出て、こうしていつもの散歩に出かけるのだ。 『あーゆうの、見たくないしなぁ・・・。』 心の中で呟く内に、彼は村外れの岩場に出ていた。 「よし、ここで休もう。」 そう言って、岩の影に腰掛ける。 「皆、なぜ ああ言う風 に殺すのかな・・・よし決めた!。予は・・・」 「親の地位を受け継いだら、あの掟はやめさせてやる。―かな?。」 「!!??」 いきなり声をかけられ、彼は少々ビビリながらも警戒態勢をとった。 はじける様に立ち上がり、声の主を探した。 主は別に隠れてもいない、彼がもたれ掛かっていた岩の上に、そいつはいた。 男子と同い年ぐらいの、幼い少女だ。だが少し目つきが悪い。 紫のマントを着ていて、腰まである銀髪はつむじの所で結んでいた。 が、しかし・・・彼はあることに気が付いた。 普通、竜族なら瞳の色は紫系の色のはずだ。 しかし彼女の瞳の色は・・・・・・・ 「緑色の目・・・もしやお前。・・・」 「掟どうり、私を竜の血を汚したと見て死刑決行か?。」 「そんな事するわけないだろ・・それにしてもおどろいた。 お前は竜族と夜族の混血児なんだな?・・・」 夜の民は、名のとうりの夜行性。別名[死の民] 。 魔力が強く、夜の民の多くは魔術師か人形使いで 暗い色の髪と、金・緑系の色の目が特徴だ。 「あんた、長の子供のクセになかなかおもしろいな。 そこまでチヤホヤされてもいないのか?。」 「あぁ、いっつもされるよ。でも、あれは正直言って気持ち悪い。」 2人とも、話す内に息が合ってきたようだ。 男子の顔には笑顔があるし、少女の表情も、冷たい無表情が消えてゆく。 そろそろ日が暮れてきて、あたりも薄暗くなってきた。 「じゃ、そろそろ予は帰るよ。今日はなんだか楽しかった。」 「あぁそうだな。ところで、お前の話をもっと聞いてみたい。 ・・・また明日、此所に来てくれないか?。 私はいつも此所にいる・・・。」 「おぅ!絶対来るよ ところでお前名前は?。」 「・・・人に名を聞く時は、まず自分から名乗るべきだ。」 少女の顔が、また無表情になりかける。 「細かいんだな。(汗)予は鏡、紺色の鏡だ。」 「 良い名だな。・・・・私は銀の月光と言う。」 ちなみにこの時、月光が初めて笑顔を見せ、 鏡が顔を赤らめたのは、いろんな意味で微笑ましい。 これが、[紺色の鏡]と[銀の月光]の初めての出会いだった。 |