異界の夜へようこそ。
私はファーブラ。導く者。
混沌なる異界。
今、何かがささやかに
けれど確かに動きだす・・・・


『はじまり〜わずかな、それは〜』


あたり一面に乾いた大地と崩れた岩山が広がる、荒野。
その中に白い人影がある。
ガウディウムにその身をおく魔剣士、白い雲だ。
今日は黒き風に用はなく、オメガを探している。
もっとも真面目に探す気など毛頭ないが。
ふと、雲の影が不自然に形を変える。
雲は気づかないふりをした。
しかし攻撃してくるなら迎え撃つ準備はある。
蠢く影は地面から抜け出し、人間のような形を取って・・・・
「おやおや探しましたよ魔剣士どの。
 オメガは見つかりましたかァ?」
影から出てきたのはオスカーだ。
クネクネと妙な動きをしながら、言う。
「見つかったならガウディウムに戻っている」
雲はオスカーをわずらわしそうに一蹴した。
いつも媚びるようなオスカーを嫌悪しているからである。
けれどもオスカーはしつこく言い募った。
「今日はあなたに預けるモノがあってきたのですよォ。クルクス」
その声に呼応して、岩陰からオスカーの使い魔のクルクスが姿を現す。
それを見て、雲は眉をひそめた。
クルクスが持っていたモノとは・・・・



がたん、ごとん。
地下鉄の中は暗いから、一人で乗ったら怖いだろうなあ、とユウは思った。
今、地下鉄の中で起きているのはユウだけ。
リサ、アイ、チョビは眠っている。
ユウもさっきまで寝ていたのだが、なんとなく目を覚ましてしまったのだ。
一人で起きてるのって、心細いなぁ。
そんなことをユウが思っていると——
がっ、と音がして。
車両をつなぐドアが開いた。
おどろいて、振り向く。
そこにいたのは一人の少女。ユウやアイと同じくらいの。
後ろに結い上げられた黒髪、白小袖に朱袴の巫女装束。
何か細長い包みを背負っている。
「君は誰?」
内心の動揺をおしかくし、ユウが聞く。
少女はこちらに近づいてくる。

——ぎゅむ。

「クエエェェェッ!」
「いた!いたた!いたっ!」
床に寝ていたチョビをしたたか踏みつけ、
パニックになっているチョビの猛攻を受ける少女。
あたまとくちばしがぶつかる音。
チョコボのくちばしはなかなか強力なのでアル。
そーとー痛そうだ。
「ん〜?」
その騒ぎにリサとアイが目を覚ます。
「わあぁぁっ!ダレー?」
アイは少女を見ておどろいた。
リサは警戒心を抱き、身構える。
「・・・・・・」
少女はいたいーいたいーとまだチョビにつつかれている。
「・・・伯爵の手下にしてはマヌケだよね。」
アイがもっともな感想を述べた。
「・・・そうね」
とりあえず、リサはパニクっているチョビから少女を助け出すことにした。
話はそれからだ。


辺り一面に乾いた大地と崩れた岩山が広がる、荒野。
その中に人影がある。
——二人分の。
一つは魔剣士、白い雲。
もう一つは、輝くような銀髪の少女。
『この少女には稀有な能力がありますので、必ず役に立ちましょう。』
オスカーはそう言っていた。
雲の傍らにたつ少女はただただ口を閉ざしている。
「・・・おまえは何者だ」
雲が問う。
少女からの答えは、ない。


予言します。
異界にあらわれた2人の少女。
あなたたちの名前、なんというの?
次回、
「邂逅〜その少女は〜」
次回もアンリミテッドな導きを・・・





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