前回までのあらすじ

自分を試そうと異界へ来た海と雨はその異界の不気味さに驚いた。
そして、謎の青年、ウォールと出会い彼らの持つ魔槍と魔斧、通称「魔神器(まじん ぎ)」
のことを話されるがミドガルズオルムの親に遭遇し、全力で逃げ、それに成功した・ ・・。


第3話 魔銃〜うしなわれたソイル〜


「助かった・・・。」
「よかったぁ〜・・・。」
「危なかった・・・。」
3人は声をそろえて言った。
「・・・・・なぁウォール。・・・ここ、何処?」
雨が言った。
そこにはあきれるほどの広さの空間が広がっていた。
「・・・・私にも分からん。」
ウォールは息を切らしながら言った。
「・・・雨、ウォール、・・・人の気配がする・・・。」
「なにっ!?」
「マジっすか!!!?」
2人ともおどろいた。
「・・・・隠れるところはないのか?」
海はウォールに聞いた。
「・・・こんな綺麗に整った場所では隠れることなどできん。」
「・・・・それもそうだな・・・・・・・・。」
海はあきれながら言った。
「・・・誰?」
雨は言った。
たしかにそこには人がいた。
黒い外套をはおった男・・・。
身長はウォールより少し高い。
髪の毛は赤みがかかっていて海よりも長かった。
左のほうについている金色のプラスのネジの頭のような物が特徴的だ。
両腕はその外套で見えなかったが、海のように細い体には間違いない。
そして、その男は顔に模様があった。
しかし、それはウィンダリア人特有のものであまり違和感はない。
右目の欠けたサングラスも黒い外套もウィンダリア人のものだ。
「お前は・・・「黒き風」・・・。」
ウォールが言った。
「・・・ウォール・・・。」
「黒き風」と呼ばれた男は呟いた。
しかし、彼らのいる洞窟は静かで、小さな呟きでも聞き取れた。
すると・・・。
「げっ!!!」
「な・・・!」
海と雨は驚いた。
無理もない。黒き風は左腕で紅く、大きめの拳銃を海と雨にむけていたのだから・・ ・。
「やめろ風!彼らは私の仲間だ!」
ウォールは風が引き金を引く寸前に叫んだ。
「・・・そうか・・・。」
風は銃をおろした。
「・・・あんな銃、見たこともないぞ。」
海は言った。
「・・・・無理もない。あれは異界で市販されている銃だ。」
「え!!マジ!?ここに街でもあんの!?」
雨は驚きながら聞いた。
「ああ。そこには君らと同じく、この異界に落とされた者もいる。
私は名前も知っている。」
ウォールは言った。
「え?誰?」
雨はすばやく聞いた。
「アイとユウその姉弟だ。そして彼らの知人とでも言おうか・・・。
 リサとシド・・・。シドのほうは「コモディーン」というところのメンバーだ。」
「ウォール・・・。それ以上は喋るな・・・。」
風は冷たく言った。
「・・・そうだったな。すまん。」
すると
「グガァァァァアア!!!!!」
さっきのミドガルズオルムの親が洞窟の入り口を破壊し、ここに侵入した。
「うっぎゃああああああ!!!もうダメだぁ!!!」
雨は叫んだ。
「く・・・・ここまでくるとは・・・。」
海は顔をしかめながら言った。
すると、風の右腕の金色のギブスのような物の一部が光った。
「・・・動いた!」
「なにっ!?」
ウォールは言った。
「ソイル!我が力!!!」
風の右腕から巨大なプロペラのような物が出て、勢いよく回転した。
「・・・「魔銃」を使うか・・・。」
「なにっ!ではあれも魔神器のひとつ・・・。」
海は言った。そして・・・。
「魔銃・・・。解凍!」
風の手には金色に輝く巨大な銃があった。
「お前にふさわしいソイルは決まった!!」
そう言うと風は黒い銃弾をとりだし、
「失われし怨恨の力「エンミティブラック(怨恨の黒)」!!」
そう言うと魔銃にそれを込めた。
「失われし愛の力「ラブホワイト(愛の白)」!!」
やはりそれも魔銃に込められた。
「まさか・・・・。アイツを呼ぶ気か!?」
ウォールは言った。そのあとまもなく
「そして・・・・失われし中立の力「ニュートラルグレイ(中立の灰色)」!!」
魔銃に3種類のソイルが込められたと同時に、
それについている心臓のような器官ドリルが勢いを増した。
「目覚めろ・・・召喚獣、「アスラ」!!!」
風がそう言うとともに魔銃の引き金が引かれた。
「なにぃ!!?」
「こいつはすげえや!!」
海と雨は同時に言った。
「・・・失われた召喚獣・・・。まさかここでお目にかかれるとはな・・・。」
ウォールが言った。
召喚獣「アスラ」は3つの顔を持っていた。
それぞれ「怨恨」「愛」「中立」にふさわしい顔つきだった。
「ガ・・・・・。」
ミドガルズオルムは「愛」の顔を見て、動かなくなった。
「・・・お前は運がいい。「怨恨」の顔がでたらお前は死んでいた。はやく巣に帰 れ。」
風がそう言うとミドガルズオルムは巣に帰り、アスラも消えていった。
そして風は海達のほうを見て、
「街まで送ろう・・・。」
と言った。
それをきいたウォールは
「フッ・・・今回はずいぶん多弁だな。」
と言った。
「まぁいいではないか。彼のおかげで助かった。」
海は言った。
「さーて、腹も減ったし、風さんよ、早いとこ連れてってくれ。」
雨も言った。
そして、4人は街へと歩き始めた。

つづく





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