「異界の夜へようこそ・・。
 私はファーブラ、導く者・・・。
 刺客・・・フングスを倒した者たち・・・
 そんな彼らの前に嘗て無い試練が待ち構える・・・
 それは・・・。」


魔剣士〜しろきいっとうじゅうつかい〜

「・・・此処は何処・・・?何故私は此処にいるの?
 奴を・・・母と父を殺された・・・仇を取らなくてはならないのに・・・。」
そのまま氷は何処かへ落ちていくのだった。

「氷・・・!」
氷は自分を呼んでいる声で気が付いた。
「此処は?」
氷は目の前にいたアイとユウに尋ねた。
「あの後、地面に皹が入ってまっ逆さまに落ちちゃったんだ・・・。」
ユウがそこまで話すとアイが「しかも、氷は気絶してたからね!」と言った。
「で・・・此処は一体・・・」
と氷が辺りを見回すと、リサが男の人と喋っているのが見えた。
氷が様子を窺っていると、「やっと起きた!」と言う声が聞こえた。
氷は声のした方を向くと、「あ・・・貴方は!ハウ!」驚きの声を上げた。
「ハウ!じゃないでしょ!まったく・・・。
 まさか貴方とこんな風に再会するとはね・・・。どうせなら・・・」
ハウ・・・その者は氷と同い年で氷と同じ世界で育った。
しかし、いつの日かお互い遭えなくなってしまっていたのだ。
「でも・・・どうして此処に?」
氷が尋ねると
「私は見ての通り新米の科学者よ!だから師匠の弟子になってるの!」
ハウが元気良く答えているとユウが「お姉さん・・・氷の知り合い?」と尋ねた。
「そうなの・・・。」
氷がゆっくりと説明した。

「まったく!君達は本当に四凱将なのかい?」
伯爵がまたしてもお説教をしている。
「だめねぇ。フングスちゃん!」
ヘルバが冷やかすと「困ったフングスちゃん」とピストが追い討ちを掛けた。
その瞬間伯爵は激怒した。
「フングスはまだ偉いよ!だってデータも無い奴と戦って負けたんだからさ!
 それに比べて君達はデータのある奴と戦って負けたんだよ!」
それを聞いたヘルバは「なら、私がその聖剣ちゃんと遊びたいですわ!」と言ったものの
伯爵は「黒き風とその聖剣使いの相手はもう魔剣士がしに行ったよ!」と鋭い目つきで睨んだ。
「あらぁ〜んそうでしたの。ほんと魔剣士ちゃんたら美味しいとこもってくんだから!」
と残念そうに言った。

ここは先程戦いが会った場所・・・
今は白い霧が立ち込めている・・・。
そんな中に人影が見えた。
「彼と彼女は?」
その人影はクルクスに尋ねた。
「クックルユーン」
クルクスは指を差し案内した。
その者は「感謝する・・・」とだけ言った。

「ところでその師匠って誰?」
氷はゆっくりと起き上がり、ハウに尋ねた。
「ほら!あそこにいるよ!」
ハウが指差した方を見ると、其処には見覚えのある男がいた。
「風!」と真っ先に叫んだのはユウ。
氷は風の元へ行き「すまぬ・・・また世話になったようだな・・・」と言った。
「・・・・」
風は何も言わずにただ座っていた。
「氷。もう大丈夫なの?」
氷に気づいたリサは尋ねた。
「何とかね・・・」と氷は言った。
内心(あの秘密は黒き風とあの者しか知らないからな・・・
普通の者が知ったら大騒ぎになる・・・黙っておこう・・・)
と氷は先程言いかけたことを言うのはやめにした。
「これは使えますね」
氷達は風の側にいる者の存在に気づいた。
「貴方は?」
リサが尋ねるとその男は「僕の名前はシドと言います」と言った。
「そう!この人こそ私の師匠よ!」
とハウが顔を出していった。
「おや?君達はハウの知り合いかい?」
シドが聞くと「私たちは違うけどこの人がね」と言って氷に目を向けた。
「おや?これは?」
シドは風の魔銃に気づいた。
「魔銃・・・」
風はそれだけ言った。
「魔銃?ちょっといいですか?」
シドは魔銃を調べた。
「俺の心臓だ・・・」
風はふとそんな事を口にした。
「どうだ?何かわかったか?」
先程リサと話していた男が現れた。
「世の中広いってことですよ!」
シドが説明しているとユウが「お兄さん地下鉄の事知ってる?」と尋ねた。
「えぇ〜!あれほんとに走ってるの?」
シドが慌しく聞くと「う、うん。」とアイとユウが言った。
「僕たち地下鉄に乗って異界に来たんだ」
「お父さんとお母さんを捜す為にね」
シドは本を持ち「いいなぁ君達・・・そうだ!僕が地下鉄まで連れてってあげますよ!」と言った。
「え?でもどうやって?」
ユウが聞くと「追いつけば良いんですよ!」と言った。
「地下鉄の先にはお父さんたちが待っているかもしれないんだろ?
 だったら迷う事無く行けばいいんだよ!大切な者はすぐに遠くに行ってしまうからね!」
と言うとハウが「さっすが師匠!良いこと言う!」と褒めた。
「と言う事でいいですよね?」
シドはナーヴに尋ねた。
「お前は言い出したら聞かないからな・・」とあっさりOK。

そんな頃、地上では魔剣士が基地へと乗り込もうとしていた。
「クックルユーン」
クルクスがこの下だと教えると魔剣士は
「感謝する・・・此処から先はいい・・・」
と言って下に落ちていた枝を拾うと息を吸った。
すると物凄い爆発がおき、穴を開けた。 

基地は揺れていた。
「地震?!」
ユウがおどおどすると「ただの地震ならいいんですけどね・・・」とシドが言った。
そんな時、ミィレスが「ナーヴ敵だ!降りてくるぞ!」と警告した。
ナーヴは口笛で指示を出した。
アイとユウは「ナーヴさん!頑張って!」とだけ言った。
(あの者がくる・・・)
氷は内心そう思っていた。
そんな時風がリサに「真上だ。」と忠告した。
「きゃあ!」
「うわぁ!」
アイとユウは瓦礫に巻かれた。
「アイ!ユウ!」
リサが気づくと周りは白い霧で立ち込めていた。
振り返るとそこには風がいた。
その前には以前見た事がある白い龍がいた。
風がショットガンで攻撃しようとした時、コモディーンが一斉攻撃した。
魔剣士は枝でその攻撃を跳ね返す。
ナーヴが攻撃を仕掛けた。
見事に命中!かと思いきや、魔剣士は何やら閃光をナーヴ目掛けて放った。
それは命中した。
「お前も自分の世界を失った犠牲者ではないのか?」
ナーヴは魔剣士に尋ねた。
魔剣士は「伯爵は・・・お前達が敵う相手ではない・・・」と言った。
その時風が猛攻。
しかし弾は全部弾かれた。
「お前を捜していた・・・」
風が言った。
「君は何故・・・」
すると腰から魔剣が外れた。
「目覚めてしまったんだい?」
魔剣士の問いに風は答えず攻撃している。
その時風は過去の事を思い出していた。
そんな時、気を取り戻したユウがかすかに「か・・ぜ・・」と言った。
「ソイル!我が力!」
風は叫んだ。
しかし、「動かない・・・」
魔剣士は「相変わらず素敵だねぇ・・・黒き風よ・・・」と言って、腰のボトルに手をやる。
「ミストが奏でる綾香氏の歌に抱かれて・・・眠るがいい!」
そしてボトルを放り投げる。
「白銀のエチュード!」
白い龍が風目掛けて突っ込んだ。
「はっ!」
風は貫かれた。
「黒き風・・・」
氷はふとそう言うと聖剣を見た。
「反応しない・・・」
ボソボソと独り言を言っているうちに魔剣士に見つかった。
「・・・白い雲・・・」
氷は警戒している・・・。
それもその筈、彼は伯爵の元で仕えているのだ。
「青い氷・・・」
魔剣士もふと氷の名を口にする。
「不様だね・・・」
魔剣士は氷を見ながら言う。
「私の秘密を知っていてか?」
氷は魔剣士を睨む。
「あれは私も悪かったんだ・・・
 まさか君にオメガ欠片が入り込んでしまうなんて思っても見なかったんだよ・・・」
魔剣士は悲しげに言った。
「だからと言ってこれが解き放たれる訳でもない・・・」
氷は魔剣士の様子を窺いながらも話す。
「・・・そう・・だからこそ私は・・・」
と魔剣士が魔剣に手をかけた。
氷は小刀を手にする。
「・・・野放しにしないという事か・・・?」
氷は静かに言った。
「・・・」
魔剣士はミストに手を掛けた。
その途端氷は「貴様にやられるくらいなら・・・」と言って
小刀で自分の真下の地面に穴を開けた。
「ではさらばだ・・」
そう言ってその穴へ飛び込んだ。
「・・・青い氷・・・」
魔剣士は冷酷な目をすると霧の中へ消えていった。

ファイナルファンタジー:アンリミテッド
「予言します。
 青い氷の秘密を知るもの・・・。
 離れ離れになる者たち・・・。
 そんな時にまたしても新たな敵が襲い掛かる!
 四天王〜あんこくにそまりしものたち〜
 次回もアンリミテッドの導きを・・・」





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