異界の夜へようこそ・・・。
私はファーブラ、導く者・・・。
色々な事を考え、戦いつづける者・・・そのものが持つ物は・・・。


『ジュエル〜ませんしのこころ〜』


彼はいつもの場所にいた。
いつも通りサングラスをかけ、闇達に素顔が見られないようにしながら・・・。
(何故私は闇に仕えているのだろう?)
魔戦士こと快晴の陽射はふとそんな事を考えていた。
そんな時だった。
「聞いてるの?魔戦士!」
闇だった。
何やら今日は機嫌が悪いらしい・・・。
「こいつらったらまた、黒き風を倒し損ねたんだよ!
 今度は君が行って奴を倒してきてくれない?!」
そんなに鼓膜が破れるほど大声で怒鳴らなくても・・・。
魔戦士はそう思いながらも
「承知した」
とだけ言いその場を後にした。



「キュルルル!」
堕天使のキュロルに導かれ、魔戦士は進む。
しばらく進むと奴の姿が見えてきた。
私は早速召喚獣を召喚しようとしたが奴はその場を全く動こうとしない。
ふと反対側を見るとなんと魔剣士がいた。
私はすぐさま草むらに隠れた。
その時
(何故私は隠れているのだろう?)
と言う疑問が浮かびさらに
(何故私と黒き風と白い雲は会うたびに戦ってしまうのだろう?)
と言う疑問まで浮かんできた。
しかし、「キュルルル!」キュロルの声でもとの世界に戻された。
キュロル言うにはこの場はしばらく様子を見た方が良いという事らしい・・・。
すると、白い雲が話し出した。
「相変わらず素敵だねぇ、黒き風よ」
それにつられるかのように黒き風が「白い雲」と言った。
何なのだ貴様らは!と言って出て行こうとしたが
そんな事をしたら今までのが水の泡になってしまう。
仕方が無いのでガマンした。
「キューキュルル!」
いきなりキュロルが騒いだ。
なんなのだ今度は!
私はキュロルが指差す方を見た。
すると伯爵の手下のピストとか言う奴が現れていた。
「黒き風を倒すのはこの私ですよ魔剣士!」とそいつは言った。
私は闇に黒き風を倒せと命令されたのだが、
こいつをやってしまおうかと思った。何故ならムカついたからである。
「よし。」
私は決意して言った。
「この際しょうがない・・・キュロル先に帰ってくれ」
そう言って草むらから出るとそれに気づいたらしくピストが
「ムムッ!貴様は魔戦士!お前も倒しに来たのだな!しかし、そうはさせませんよ!」
ブチッ!
魔戦士の中で何かが切れた。
魔戦士はまるで自分がこけにされたように聞こえたみたいだ。
そして魔戦士はお得意の構えを取り、
「ジュエルが放つ光に纏われ・・・」  
「なっ何ですとぉ〜!」  
「滅び去れ!真夏のオーガスト!」
すると、赤いグリフィンが現れ、
「ウギャ-!」
ピストはむなしく消えた。
「快晴の陽射・・・。」
二人は声を合わせてそう言った。
魔戦士はハッとした。
この場面を闇が見ていたらどうだろう?
伯爵が見ていたらどうだろう?
私が絶対服従ではない事がばれてしまう。
そんな事になったら!と思いながら辺りを見回すと、
幸い白い雲が放つ霧のお陰で闇達には何も見えていないようだ。
魔戦士はホッとしたそして「黒き風に白い雲」と言った。
「なんだい?快晴の陽射」と白い雲が言い、
「何だ?」と黒き風が言った。
「君達みたいな人と会えて私は嬉しい・・・」
と私が言うと二人は何を言い出すんだと言うような顔をした。
そして魔戦士はサングラスを取り、こう言った。
「フフッ。君達のような人と戦えるなんて私はついているね。
 闇に仕えたかいがあったよ。
 お楽しみはとっておけとも言うしまた今度にしようね。」
そしてサングラスをかけ、魔戦士は闇の居城へ帰っていった。
二人はそんな魔戦士をポカンとしながら見送った。

闇の居城へ着くやいなや闇からの質問地獄だった。
何故黒き風を倒せなかった?
何故キュロルを先に返した?と言った事だった。
私は黒き風が倒せなかったのはピストとか言う奴のせいだと言い、
キュロルを先に返したのは危ないからだと言いなんとか切り抜けた。
そしていつもの場所に戻り座った。
すると、
(何故私はあの時黒き風を倒してしまわずに伯爵の手下を倒したのだろう?
 何故私は黒き風と白い雲にあんな事を言い、闇に嘘を言ったのだろう?)
とまたしても疑問が浮かんだ。
心が複雑な魔戦士・・・。

その頃やられて帰ってきたピストを見て
ピストが伯爵に大目玉を食らったのは言うまでも無い。




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