異界の夕暮れにようこそ…
私はイヴ…見守る者……
これからお話するお話は、
長い長い一人の旅人のお話の一つです……。

『道〜アカキオトコ〜』

そこはとある異世界
その異世界の道を歩く二人の男
2人は自分を試すために異界を旅しています


「なぁ〜海ィ〜…まだつかねぇのかぁ〜!?」
右耳にイヤリングをつけた、褐色の肌の男が
前を歩く髪の長いコートを来た男に言った。
「お前は『我慢』と言う言葉を知らぬのか?
もう少しで着くはずだ、文句を言う暇があるのなら、
さっさと歩くんだな。」
海と言われた男が立ち止まって後ろを向き、
イヤリングを着けた男、雨に言った。
2人の名前は『銀の海』と『金の雨』
2人は自分を試すために、異界に入り今も異界を旅している。

「ちっきしょう!」
雨が転がっていた石を勢い良く蹴った……と、
それまでは良かったのだが、
その雨の蹴った石が草ではない何かに当った。
「?」「ん?」
と、雨と海がそこに目線を向けている間に、
ジャングルに一対の怒りの光を帯びた目が
2人を捕らえた。
「雨!逃げるぞ!!」
「なっ!マ、待てよ海っ!!」
海が雨の腕を掴んで走り出した。
「あんなヤツ、一撃で倒せるだろ!?」
腕を捕まれ、強引に走り出した海に雨が言ったが、
「あのモンスターは俺等の力では、
到底敵わん相手だ、ここは逃げた方がいい!」
と説得させられてしまった

が…

「くそぉ!はえぇぞアイツ!!」
雨が後ろを振り向きながら言った。
「…逃げきれぬか……。」
「オイ!誰かいるぞ!」
降り帰った海に雨が前方を指差して言った。

雨の指差した先には赤紫のマントをなびかせて
佇む一人の男らしき人が立っていた。

「おい!逃げ――
「道を外れ、木陰に隠れていろ。」
雨と海がすれ違う時に言ったその言葉は
彼の言葉によって掻き消された。
男の言うとおり、雨と海はけもの道を外れ、木陰に身を隠した。
男は2人が隠れたのを確認し、
モンスターの方へ視線を戻した。

モンスターはその眼をギラギラさせて
目標をその男に変えたようだ。
そしてそのモンスターの爪が男に届く前に、
白い閃光が走った。




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